天使の名前~もう一つの由来~
良い名前をつけたかった。
かわいい名前をつけたかった。
誰からも愛される名前をつけたかった。
良い縁に恵まれる名前をつけたかった。
幸せを掴める名前をつけたかった。
字画で決まる…なんて、そんな訳はないかもしれない。
でも、『良い』と定義されるものがあるのなら。
そんなことが幸せに近づくと言うのなら。
私のいろんな想いの詰まった天使の名前。
でも、もう一つ。
天使の名前を決めた理由がある。
それは、『彼』が天使の『父親』であるという証。
二人の間に産まれてくる天使。
彼には名前を一緒に考えて欲しかった。
入籍のこと、お金のこと、仕事のこと、生活のこと。
天使を迎え入れる準備が何一つできてない中、
せめて『父親』として彼にしてもらいたいこと。
私にとってはその一つが『名前』だった。
名前字典を彼の家に持って行ってみたりした。
だけど、彼はパラパラとめくると、その辺にポイッと置いてしまった。
『名前』に関してでさえ、彼が協力的で無いように思えてとても悲しかった。
ところが、ある日、彼の家に行くと色んな名前がノートに書かれてあった。
彼なりに名前を考えてみたらしい。
でも、正直、私がピンと来るものは無かった。
それに、もっともっといっぱい考えて欲しかった。
そんななか、いつもの名前字典をめくっていると、
素敵な字が私の目に止まった。
字の由来、意味を調べ、画数を数え、当てはめてみた。
私の天使への想いをそのまま文字にしたかのような字だった。
字画もとても良い。
書いてみた。
『咲来』
何となくきれい。
『この子の名前はこれだ!』と思った。
この名前は、私の考える全ての条件に、ぴったりだったから。
この時はもう、薄っすらと彼と別れることも考えていた私。
もしも、将来『父親』が居ないなんてことになっても、
この子の名前に、『父親』の足跡を残しておきたかった。
『天使の名前はパパも一緒に考えたんだよ』と伝えてあげられる。
私には、そのことがとても大切なことだった。
色んなことがあって別れはしたけれど、決して父親から望まれてなかったわけでは無いと伝えたい。
だから天使の名前は、彼がノートに書いていた中から決めたかった。
それが、『天使の名付け』のために必要な最後の条件。
天使にはちゃんと『父親』が居たんだという証。
上手く伝え合えなかっただけで、天使に逢う日をちゃんと二人で待っていたんだという証。


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